切られた桜に心惹かれる

上野公園を歩いていると、全ての枝が切られた桜を見つけた。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という諺があるように、桜の枝はあまり剪定してはいけないものとされている。そのため、桜の枝が切られている光景はあまり見たことがない。ましてや、枝が全て切り落とされている桜は初めて見た。

僕はこの桜に妙に惹かれて見入ってしまった。美しさで言えば綺麗な花を咲かせる他の桜の方が上だが、この枝のない桜は強烈な怖さとかっこよさを醸し出している。

 

「本来楽しい場で使われるものが恐怖的なものと一緒に使われる作品」が好きだ。例えば、Five Nights at Freddy’s。楽しげなクマやウサギの機械人形が人間を襲う光景は良い。映画の殺し合いのシーンでクラシック音楽が流れると心躍る。SCPではSCP-1283-JPに惹かれた。

枝のない桜には、それらの作品に似た魅力を感じた。楽しげな花見会場にそびえたつ、すべての枝が途中で切断された桜。ひどく悪趣味で、背筋がゾクゾクする。