12月5日(月)
小学生の時、紙幣でお金を持つのが怖かった。紙幣なんて簡単に破れたり燃えたりするのに、そんなものに1000円とか5000円とか10000円とかの価値があるのが怖くてたまらず、お年玉はすべて500円硬貨に両替して持っていた。
500円玉なら雑に扱っても破れないから安心だし、家が火事になっても僕の500円玉だけは無事だぞ、とほくそ笑んでいたのを覚えている。
今でも変わらず、あんな紙切れに10000円とかの価値を持たせるのはクレイジーだと思っている。アルバイトの時給が1000円として、人間が人生を10時間削った労働の対価が紙切れ1枚なのだ。そしてその紙切れを、ライターを使えば10秒で燃やすことができる。どう考えても狂ってる。この世界はおかしい。
もう大人だから所持金を全て500円硬貨にする事はできないが、本当は5000円札や10000円札を持ち運ぶのはとても怖い。できることなら全部500円硬貨にして、革の袋に入れて持ち運びたい。レジで会計をするとき、500円玉を革の袋から取り出して支払いたい。大きな買い物をした時には、革の袋をレジにどさっと置き、「これで足りるか?」と言いたい。
でも、そんな事はできない。大人だから。大人の僕ができるのは、社会がこの狂気に気づき、紙幣を廃止するのを待つことだけだ。
12月6日(火)
身体にはこんなに穴がいっぱいあるんだからどっかからビームが出てもいいのに、どの穴も汁しか出なくてつまらない。
12月7日(水)
無印良品のマッサマンカレーを食べた。ココナッツの味が美味しく、食べてて笑顔になった。あまりに美味しかったから、一週間絶食した後にこのカレーを出されたら泣きながら食べると思う。一週間絶食した後なら何を出されても泣きながら食べると思うので、今日の日記の後半には何の意味もないです。
12月8日(木)
美容院でシャンプー中、顔に乗せられた布を鼻息で吹き飛ばしてしまった。吹き飛ばした瞬間、ニヤつく美容師と目が合って恥ずかしかったから、これ以上犠牲者を出さないために布を冬布団くらいの厚さにしてほしい。
というか思い返すと、今日シャンプーしてくれた美容師、完全に笑わせに来ていた。顔に乗せる布もぺらっぺらだし、最初から客に布を飛ばさせることを目標にしていたとしか思えない。布を飛ばした時の美容師のニヤつき顔、あれは任務達成の愉悦の顔だったのか。