睡眠とパソコン

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2022年7月11日~7月17日の日記

7月11日(月)

乾燥機から取り出した直後の洗濯物は良い。まだ温かくて、良い匂いで、ふわふわで、クローゼットにしまうのがもったいなく感じる。温かい洗濯物をベッドの上にぶちまけ、その上にダイブしたい欲求に駆られる。

今日も乾燥機から洗濯物を取り出すとき、この欲求と戦うことになった。いつもなら「ベッドの上にぶちまけたいなあ」と思いながら、しかし理性を働かせて片付けるところだが、今日は疲れていたのか理性が十分に機能しなかった。

 

ただ、すべての洗濯物をベッドの上に散乱させるのはまずい。乾燥機から出したての洗濯物にはシワがつきやすく、その上にダイブなんてしたらすべての洗濯物がシワシワになってしまう。でも、この温かな布切れに包まれたい。そんな葛藤の末にたどり着いた妥協点は「パンツだけ着替える」だった。

 

温かくてふわふわなパンツに履き替えると、とても快適で心地よい。残念ながら匂いは嗅げないが、下半身がホクホクしている状態というのは良いものだ。秀吉は信長の草履を温めていたらしいが、ついでにパンツ(あの時代はふんどし?)も温めてあげればさぞ喜ばれただろう。

 

 

7月12日(火)

唯一のベルトを無くした。
暴漢に襲われたとき何で戦えばいいんだ。

 

7月13日(水)

「快晴」が分からない。快晴じゃない晴れなんてあるのだろうか。「雲ひとつない快晴」という言い回しがある以上、雲がある快晴も存在すると思われる。雲がどれくらいの状態が「快晴」で、どれくらい雲があると「晴れ」で、どれくらいから「曇り」になるのか。デジタルネイティブだから、ちゃんとデジタルに表示してくれないと分からない。「雨」は分かる。上から水が降っていれば雨、そうでなければ雨じゃない。簡単だ。でも、「土砂降り」は分からない。デジタルネイティブだから。どこまでが快晴で、どこからが晴れなのか。どこまでが雨で、どこからが土砂降りなのか。分からない。デジタルネイティブだから。

 

 

7月14日(木)

研究室の友達とエレベータに乗る。僕たちの研究室は7階にあり、そこから1階まで降りて帰ることになる。エレベーターまで歩いているときの並び的に僕がエレベーターのボタン係になった。一瞬、7階から1階まですべてのボタンを全部順番に押したらウケるかな、と思ったがやめておいた。スベったときに長時間密室に閉じ込められるのは気が持たなそうで。

 

 

7月15日(金)

僕の通う大学はこの土日にオープンキャンパスがあった。数日前から教授が「オープンキャンパス、学生からも何人か参加してほしいなあ」とひとりごちるようになり、その独り言を聞いている限り、教授はオープンキャンパスに来た高校生の質問に答える係の学生を探していると思われる。絶対に御免である。なぜ貴重な土日をそんな雑用に費やさなければならないのか。土日は寝て食ってゲームして食って寝ると決めているんだ。

 

教授が独り言を言うようになってからなるべく目を合わせないようにしていたが、今日ついに肩を叩かれ、「粘々くん、大学から家近いよね?」と聞かれてしまった。もちろん「はい! 近いです! すぐです! オープンキャンパスですか! 参加します! 楽しみですね!」と答える。

 

学生に単位を与え卒業させる権限は教授が持っているので、日常生活においても教授の気分を損ねるわけにはいかない。教授が「土日暇だよね?」と言えば僕の土日は暇になるし、教授が「あのカラス白いよね?」と言えば黒いものも白くなる。

教授が「オープンキャンパス参加してくれるよね?」と言ったおかげで僕はオープンキャンパスに参加する事となり、僕の土日はなくなった。月月火水木金金! 大日本帝国万歳! 教授は「うちの研究室はホワイトだよね?」と言っているので、うちの研究室はホワイトである。

 

 

7月16日(土)

オープンキャンパス1日目。自分の研究の話をするだけで「へええー! すごい!」とか言ってもらえるの気持ちよすぎ。知識のない人にふんふん話を聞いてもらえるの気持ちよすぎ。オープンキャンパス気持ちよすぎ。教授、オープンキャンパス気持ちよすぎるので毎月やりませんか?

 

 

7月17日(日)

オープンキャンパス2日目。小学校低学年くらいの子供を連れた親御さんが見学に来た。天才児かと思って身構える。親御さんが教授と難しい話をしている横で、小学生は研究室に置いてある女の子の萌えフィギュアをじっと見つめていた。小学生にしてそのフィギュアの良さが分かるなんて将来有望だな、と心の中で話しかける。